不知火(しらぬい)の美味しさを求めて。こだわりの樹成熟成とは?
2015年3月 9日 (月)
木津農園
徳島県阿波市市場町興崎南分185
木津昌典さん
徳島県阿波市市場町の木津農園で栽培される不知火(デコポン)は、樹成り熟成という特別な栽培方法で完熟させているので豊かな香気と甘さが際立っている。
旬の完熟の味を期間限定でお届けする木津農園の不知火のおいしさを求めて、新春早々木津農園さんにお話をおうかがいした。
■■おいしさの秘密と樹々へのいたわり■■
今でこそ見慣れた果物である不知火はひとつの樹になる実の形はデコありもあればデコなしもある。ヘタが出っ張った見た目もなにか愛嬌があり、かわいいフルーツとして定着してきたが、そこには生産者ならではの樹々へのいたわりがある。
一般的に不知火は2月前後に収穫し、1ヶ月ほど貯蔵庫などで熟成させた後に出荷されるのだが、木津さんはあくまで樹成り熟成にこだわる。
樹成り熟成とは3月初旬まで樹に成らせたまま熟成・完熟させる栽培方法で、その特別な栽培が甘みと酸味のバランスが良く、味の濃い、香りもさわやかな不知火を生む。
ここにも旬のおいしさを凝縮した完熟の不知火をお届けしたいという木津農園さんのこだわりが顔をのぞかせる。
そもそも樹成り熟成は樹々への負担が大きい栽培方法なのだ。
果実が樹の栄養を摂ってしまい、どうしても樹が弱るので樹々へのいたわりなくしては語れない。有機質肥料主体のていねいな土づくりや摘果作業を通して樹々を大切にはぐくむことで、大きなサイズの不知火を実らせる。
ハウスの中でじっくり育てられた不知火は冬を越し、ここ徳島で春の訪れが感じられる頃、熟成の最高潮を迎えるのだ。
■■見栄えでも中身でも勝負する木津農園さんの不知火■■
木津農園さんの不知火はほとんどが化粧箱入りの贈答用として出荷される。
ハウス栽培なので見栄えもよく、一般ではあまり販売されていない大玉サイズは特に贈り物に最適だ。
樹成り熟成は果実を大きく育てる栽培方法でもあり、4Lともなるとソフトボール程の大きさになる。大きいサイズでも簡単に皮がむけ、中の薄い皮ごと食べられる手軽さも市場に受けた。
そして、生産者の目を通して自信を持って美味しいと言える期間のみのお届けにこだわるなど、その目線は一直線に消費者の方々へと向けられている。
■■流通・販売から生産者の立場へと■■
前職では流通・販売にたずさわるお仕事をされていた木津さん。今は生産者としての立場へとその立ち位置は大きく変わったが、いいものを消費者の皆様方へお届けしたいという思いは基本的に変わらない。
3月10日より収穫がはじまる。活気あふれる多忙な日々が木津農園さんに訪れる。
樹成り熟成という特別な栽培方法で育てられた不知火ひとつひとつに木津さんの思いが込められ、そして全国へ届けられる。
不知火の栽培にとどまらず、6次産業化へのとりくみについて学んできたという木津さん。今回お聞かせいただいたお話の中から感じられる意欲と、そのさわやかな目線の先にある第二・第三のプランが私には楽しみである。