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阿波晩茶を全国へ!井川さんの挑戦

2016年9月16日 (金)

Ikawasan

井川発酵株式会社
徳島県那賀郡那賀町吉野字折サコ10-4
代表取締役 井川圭太郎さん

 徳島を彩る夏の風物詩、阿波踊りの開催が間近に迫ったお盆前の暑い日。
井川発酵株式会社 代表取締役 井川圭太郎さんにお話をお伺いし、
その熱い思いに触れることができた。


■■阿波晩茶との出会い■■

 徳島県出身の井川さんは東京で生活したのち京都で社会人としての人生をスタートさせた。
 実社会での経験を積んでゆくに従い、常々胸の中であたためてきた
「原料からかかわりがもてるものにチャレンジしたい」との思いを強くして
いったという。
 日々の生活を送る中でその思いはどんどんとふくらみ、やがて思い実現の決意を固め、生活基盤を地元徳島に移すことに。

 脳裏にうかぶ「農業」という2文字がクッキリとしてくる頃、紅葉や南天など、
料理のつまものの生産、葉っぱビジネスで有名な上勝のいろどりの農業研修に
参加する。

 半年間にわたった研修期間、野菜や上勝特産のつまもの(紅葉や南天)
などなど・・・農作業の合い間合い間に出された晩茶にホッとし、「おいしいなぁ、
なつかしいなぁ」と、随分癒されたと当時を振り返る

 阿波晩茶との出会いである。

 阿波晩茶は四百年以上続く伝統製法を守っており、Awabanchaseizou
7月に行われる茶摘みから8月の天日干しまで、ほとんどが手作業で暑い時期に集中する。
 夏場の重労働に加え過疎化や高齢化により、生産者が少なくなり生産量も減少の傾向にあった。継承が課題となっていた。

この出会いが、何の根拠もない思いであったというが、今までの経験を生かせるのではと、井川さんを奮い立たせた。

 周りの人から阿波晩茶の作り方を教わりながら試行錯誤を重ね、井川発酵の
前身である「いろどり晩茶生産組合」を立ち上げた。
井川さんの「原料からかかわりが持てるものにチャレンジしたい」長年心に温めてきた思いはここに実を結ぶ。


■■阿波晩茶と乳酸菌■■

 阿波晩茶は後発酵茶という分類のお茶であり、Awabanchaseizou2_3
同じ仲間には高知の碁石茶や中国のプーアール茶などがある。

 収穫した晩成の硬い茶葉を一度熱湯で釜茹でにし、その後揉み、樽に漬け込み発酵熟成させる。
 樽に漬け発酵させる独特の製法は世界的にも珍しい。

 樽漬けする間に自然に植物性乳酸菌発酵が始まり茶葉の持つうま味やかおり、酸味を独特の味わいに変化させる。
 樽の中はカフェインやカテキンがいて、本来なら乳酸菌は生存しにくい環境だが、その中でも立派に住みついてその役割を果たす乳酸菌は、実はとってもタフな乳酸菌なのだ。

 阿波晩茶はこの植物性乳酸菌が多く含まれているため、おなかの調子を整える働きや高血圧・糖尿病にも効果があると大学などで研究が進み注目されている。 


■■阿波晩茶を全国へ■■  

 阿波晩茶はAwapet上勝町や那賀町の相生地区という限られた地域でしかつくられていない。 そのオリジナルな製法は伝統樽漬け発酵造りといわれ、かすかな酸味を伴うさわやかでさっぱりとした味わいのお茶に仕上がる。

  現代の生活スタイルにあわせて阿波晩茶のペットボトル化を発案「いろどり晩茶(現 阿波晩茶)」を商品化。手軽に阿波晩茶を楽しんでもらえるようにと懸命にPR、販売を開始した。

 「懐かしいなぁ」「知る人ぞ知る幻の晩茶」と言ってもらえることもあるが、阿波晩茶に馴染みのない地域では全く相手にされない日々が続く。

 それでもあきらめず「茶葉」での商品ラインナップの充実、「阿波晩茶のティーパック」「茶葉の入った茶漬け用ふりかけ」「阿波晩茶塩」などの加工品の開発をしながら、草の根的な販売活動を継続した。

 「催事では大きく声を張り上げました」と井川さんは振り返る。 

 高速バスに乗り月2回PRのための出張を続ける中で、テレビ関係者の目に触れ、取材の依頼が多くなった。テレビで放映されたことで少しずつ阿波晩茶の名が全国に知られ、たくさんの人から購入の声が寄せられる。

手応えも感じられるようになりわずかだが自信も芽生えてきた。

 そんな中ある健康番組の「腸内フローラ」の特集で阿波晩茶が取り上げられるのを境に注文が殺到。1年分の注文が押し寄せる。

 阿波晩茶は日本で一番注目される「発酵茶」となった。


■■多くの人へ阿波晩茶を■■ 

 PRは功を奏するが、同時に、非常に多くの予約待ちのお客様をうんだ。Ikawahakko

「さぁやるぞ!」「さぁ作るぞ!」と意気込むが大きな壁が立ちはだかる。

 生産者の高齢化の問題をはじめとした生産量の減少等、阿波晩茶の
おかれた現状に対する課題が一挙に表面に現れる。
受注分の生産すらおぼつかない懸念が生じた。

 「これではだめだ!」とばかりに販売活動から生産活動へ軸足を移す決断をした。
製造の拠点を上勝町から那賀町(相生)に移し、新たにここでも阿波晩茶の作り方を学ぶ。
 上勝の晩茶の作り方、相生の晩茶の作り方2か所の晩茶の製造方法を学び、両方の良さを合わせることが井川さんの強みにもなった。

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 そして、平成28年4月「井川発酵株式会社」として阿波晩茶を生産することとなる。
現在二か所目の製茶工場を建設中。
地域の生産者の手助けをもとに本格的な生産体制の確立を目指す。

 「美味しい阿波晩茶をたくさんの人へ届けたい」全てはその思いにある。

 「全国に阿波晩茶の良さをもっともっと知ってもらいたい」井川さんの挑戦はまだまだ続いている。

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